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スキャニングサービス大全!スキャニングの用語解説からその方法、流れ、仕様、内製化、外注依頼まで徹底解説!

 

スキャニングという言葉をご存知でしょうか。大半の方にとってはあまり聞き慣れない言葉ですよね。それではスキャナーという機器はご存知でしょうか。紙を電子データにする機器で、コンビニの複合機でスキャナー機能を使われる方も多いのではありませんか?

 

本コラムでは「スキャニング」用語の説明から始まり、その方法やスキャナー機器、スキャンの流れ・仕様、内製化におけるポイント、スキャニングサービス、サービスの選び方や価格・料金、見積もり依頼の仕方まで、余すところなく徹底的に解説しました。

 

企業の発注担当者の方にこの解説記事を読んでいただければ、スキャニングの全体像を把握していただくことができるようになっています。

 


解説者:長屋 好則
株式会社 雲紙舎 代表

2009年よりスキャンサービスを立ち上げ、2013年より法人 雲紙舎の代表を務めている。過去2000件のスキャン実績があり、大企業や官公庁をはじめ、印刷会社や出版社の出版物などの電子化・二次活用をサポート。

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スキャニングとは?

紙から文章、図表、絵柄などの紙面情報を画像としてデジタルデータに変換することやその行為を指します。そして、変換に使用する機器をスキャナーと呼びます。

 

カメラの撮影と同様に、紙をそのままPDFファイルやJPEGファイルなど画像データに変換するのが特徴です。もちろん、スキャナーによっては、補正機能によって、紙の地色を白くしたり、明るさやコントラストなど調整が出来るものもあります。

 

スキャニングの方法

 

スキャニングには、大きく2つの方法があります。紙をスキャナー機器側で自動給紙するオートフィーダー型と、紙を1枚1枚手動でセットするフラットベッド型・オーバーヘッド型に大別できます。

 

前者のオートフィーダー型では、書類であればホチキスや付箋外し、原状回復の有無、PDFの単位が費用に影響します。また、冊子であれば断裁機で裁断が必要となります。

一方で、後者のフラットベッド型では、冊子であれば180度開くことが可能かどうか、スキャン後に強い使用感が残ったり、本が破損しても大丈夫かどうかを確認します。オーバーヘッド型であれば、上からスキャンするために、本の痛みを抑制することが可能です。

 

いずれにしても、ご予算と目的、つまり、原稿を裁断出来るのか出来ないのか、痛み具合、色の再現性を求めるのか求めないのかで、スキャニング方法を選ぶことになります。

 

スキャナーの種類について

 

スキャナーの種類について解説していきます。

 

オートフィーダー型

キヤノンや富士通、コダックなど大手メーカーのスキャナー機器が有名で、民生用であれば5万円前後で購入できるものが多いです。業務用では30万~150万円となり、機能も増えて高性能となります。

 

フラットベッド型

エプソンやキヤノンが有名です。対象によっては複合機のスキャナーを使用しても良いでしょう。業務用では、A2サイズからA0サイズまで対応可能なフラットベッド型もあります。

 

フェイスアップ型(オーバーヘッド型)

民生用では富士通のSV600シリーズが有名です。業務用ではドイツ製や日本製の300万~1000万円のスキャナーが主流となります。

 

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スキャニングの流れ

 

スキャニング作業にはいくつかのステップがあります。いきなりスキャニングを始める訳ではないのです。もう一つ誤解があって、スキャニングよりそれ以外の工程に多くの工数がかかるという点です。

 

以下にステップを示します。

 

a.資料の件数確認

PDFにしたい単位の資料や冊子が何件あるのかをすべて確認します。

  • キングファイル単位でPDF化をしていく場合は、キングファイルの数
  • キングファイルにあるインデックス単位でPDF化していく場合は、インデックスの数
  • 論文の会報誌単位でPDF化していく場合は、会報誌の冊子の数
  • 論文の著者単位でPDF化していく場合は、編の数

 

以上のように、PDFファイルの数と一致する書類や冊子の数をすべて把握する必要があります。そんなめんどくさいことと思われるかもしれません。

 

量の多少に関わらずスキャニングの成否は、すべての数量を確認し管理表へ記録をすることにかかっています。そしてこの管理表は進捗管理や工程管理のベースにもなるのです。

 

b.解体処理

資料や冊子を解体します。資料であれば、ホチキス外しや付箋外し。冊子であれば断裁。ただし、ホチキスや付箋の現状回復が必要な場合は事前にまとめて解体しません。

 

スキャン時に解体スキャン現状回復を細かく回していくことになります。また、冊子も裁断しない電子化の場合は、解体処理の工程は不要です。

 

c.スキャナー機器の設定・テストサンプルの作成

次は仕様をもとにしたスキャナー機器の設定とサンプル作成を実施します。複合機しか所有していなければ複合機の設定を調整しましょう。複数のスキャナー機種を所有していれば、まずは試してみたい機種でサンプルを作成してみます。

 

サンプル結果を見て、別の機種でサンプルを作成してみるのも良いでしょう。そして、一番良いサンプルのスキャナー機器の設定をプロファイル化しておきます。

 

d.スキャニング

一つ前の工程c.で作成したプロファイルを利用して、スキャニング作業を進めていきます。スキャニングの工程で、注意すべきポイントは1つ。

 

◎ポイント
数量の確認がしやすいようにディレクトリーを作成します。a.資料の件数確認 の工程で数量を記録しているはずです。その数量とスキャンしたPDFの数が一致するかどうかを把握することが大切です。

 

例えば、ダンボール1箱に5冊の500枚入りキングファイルが入っている場合、a.の工程で、ダンボールに5冊入っていることを記録し、ダンボール単位でディレクトリーを作り、スキャンした結果、PDFファイルが5ファイルとなることが確認したい点ですよね。

 

e.検品

仕様にもとづいてスキャンデータの検品をおこないます。検品の工程では、スキャンした画像をすべて目視でチェックすることを推奨します。検品で気になる頁は原本を照らし合わせて確認します。

 

f.修正

検品の結果、修正が必要と判断した場合、再スキャンをおこないます。画像編集ソフトを使用することも可能ですが、間違って修正し必要な情報を消してしまう恐れがありますので、注意が必要です。

 

g.修正箇所の再検品

f.修正の工程で修正した箇所を再度検品します。修正した頁の前後数ページを確認すると良いでしょう。修正した頁の置き換えミスが生じやすいからです。

 

h.ファイル名のリネーム

最後にファイル名を入力します。ファイル名の文字数は、windowsの仕様上、長すぎてもダメなので、適切な量(20文字内)にとどめましょう。

 

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スキャニングの仕様

仕様で大切なポイントは、4つあります。「解像度」「カラーモード」「圧縮率」「ファイル形式」です。

 

解像度

パソコンでの閲覧用途→300dpi
アーカイブとして保存目的→400dpi
できる限り高品質にしたい→600dpi

 

カラーモード

RGBカラー、グレースケール、白黒2値
※グレースケールと白黒2値の違いに気をつけましょう。

書類スキャンと書類コピーでは「カラーモード」の呼び方が違う!?

 

圧縮率

3から5つの高低の設定であることが大半です。(注1)

 

ファイル形式

冊子や書類、図面はPDFファイル
ネガポジのフィルムはJPEGファイル

 

※注1:デフォルトは真ん中に設定されているかと思いますが、事前に確認しておきましょう。低圧縮で保存したいという要望がない限り、圧縮率は「中」で十分です。「低」や「高」では視認性や操作性に支障が出るでしょう。また、A2サイズ以上の場合、RGBカラーやグレースケールでスキャンをすると、300dpiでもファイルは大きくなります。TIFFで保存し圧縮をして容量を下げてください。

 

スキャニング作業を内製する際のポイント

 

自社内のスタッフで契約書をスキャンしたい等、内製化を進めていく場合のポイントは、3つあります。

 

a.スキャン担当者を固定化する

PDF化作業を担当するのは、派遣スタッフやパート社員の方が大半です。派遣スタッフの場合、最長2年間ですが、なるべくスキャン作業に関わる人は同じ人にすると良いです。月に1回程度のスキャン作業であれば、同じ人に固定化すると、経験や知識がストックされ品質も安定化しやすいからです。

 

b.スキャニング作業を通常業務に組み込む

担当者が決まったら、毎月の実施日を必ず決めます。いつ作業をおこなうのかを決めるということは、それは、通常業務に組み込むということです。実施日を決めず手の空いたときにおこなうようでは、スキャニングの内製化は頓挫してしまうでしょう。

 

c.仕様を徹底する

仕様の中でも特にファイル名の命名規則を徹底するようにしましょう。株式会社と表記するのか、㈱と表記するのか。スペースは半角なのか全角なのか。命名規則が徹底されないと、検索に影響が生じ目的のデータを探すのに手間がかかってしまいます。

 

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スキャニングサービスについて

内製化するだけのリソースが足りない場合、外部委託を検討することになります。外部委託には、3つの形態があります。

 

セルフスキャンサービス

セルフスキャンサービスとは、場所とスキャナーを貸し出すサービスで、実際のスキャン作業は委託者側がおこないます。法人利用の場合、キンコーズが代表的なサービスと言えるでしょう。

 

業務委託サービス

業務委託サービスとは、請け負う側が場所とスキャナーと作業員を確保し作業を実施するサービスです。委託者側は紙資料を送付するのみとなります。

 

出張スキャンサービス

出張スキャンサービスとは、委託者の事業所に請け負う側が出向いて作業をおこなうサービスです。委託者側は、場所と電気代を負担し、受託者側がパソコンとスキャナー、スタッフをを用意します。セキュリティを考慮し、委託者側がパソコンやスキャナーを用意する場合もあります。

 

スキャニングサービスを提供する業者への委託について

 

「7.2 業務委託サービス」の形態のスキャン業者は、大手や中小を含めて多くのサプライヤーが存在します。スキャン業者にも得意不得意があるので、その得意不得意を把握し、選択の軸を持って、業者探しを始めると良いでしょう。代表的な選択軸は、「コスト」「品質」「セキュリティ」の3つです。

 

スキャニングサービスの選択軸

「価格は安いほうが良い」に反対の人はいませんよね。大きなベクトルとして、「コスト」を重視することは誰もが認めるところです。しかしながら、その「コスト」が他社の半額ぐらいだったらどうでしょうか。普通は「何かおかしいな」「大丈夫かな」と思いますよね。

 

例えば、年金暮らしの老父婦がお小遣い稼ぎで三百円ぐらいの弁当を自宅前で保冷庫にも入れないで販売しているとします。衛生面や味つけにちょっと不安を覚えるので、安くても頻繁に利用はしないのではないでしょうか。

 

一方で、近隣に、有機野菜を使用した六百円ぐらいのお弁当屋さんがあったとします。冷蔵による衛生管理や有機という「品質」が担保されているので、倍の金額でもこちらのお弁当を購入するという選択も合理的と言えます。

 

スキャニングサービスの選択軸も全く同じ考え方です。

 

コスト

安ければ安いほうが良い。この場合、一括見積もりサイトで見積もり依頼をすれば、ものすごく安い金額で見積もりを提示する業者を見つけることができるでしょう。しかしながら、その業者が自宅兼事務所で、社長とパート数名で運営されている零細業者だったりした場合、企業秘密の資料や大量の資料のスキャニングを依頼できるでしょうか。

品質

スキャン業者の品質とは、何を示しているのでしょうか。どこのスキャン業者も高品質と謳っているでしょう。自称の高品質では比較しようがありません。品質を担保する仕組みをしっかりと構築管理し、第三者機関から客観的に評価される代表的な認証規格として、「ISO9001」が挙げられます。また、導入事例や、見積書の提案内容、サンプル制作も一つの参考になるでしょう。

セキュリティ

スキャン業者のセキュリティとは、お客様の資産である紙資料およびスキャンデータを適切に保護する管理方法および管理体制を指します。パソコンにセキュリティソフトを導入することは当然のことですが、パソコンの操作履歴のログを管理したり、各PCごとのUSBメモリーの利用可否やログインパスワードの定期的な変更、顧客から貸与されている資料の管理、スキャンデータの廃棄など、漏れなく管理できているかどうかです。こういった体制を第三者機関から客観的に評価される認証規格として、「ISO27001」があります。

 

スキャニングは、労働集約的な作業なので、コストを重視するのであれば、品質とセキュリティを諦めることになります。品質やセキュリティもしっかりとしたいのであれば、そのコストに見合う価格でのサービスを受けることになるでしょう。

 

スキャニングサービスの料金・価格について

スキャニングサービスの料金・価格について解説していきます。

 

「8.1 スキャニングサービスの選択軸」で説明のとおり、スキャンの料金は品質やセキュリティにかける工数によって決まります。安さを重視するのか、品質やセキュリティを重視するのかは、候補先を探す上で事前に決めた方が良いでしょう。

 

また、スキャン業者の料金ページも、その単価がスキャンだけの単価なのか、スキャンの前・後工程の作業も含めた単価なのかも確認が必要です。問い合わせの数を増やしたいスキャン業者は、単価を安く見せるでしょう。料金ページの単価を見て、単純に高い安いを判断してしまうのは間違いです。

 

少量なのか大量なのか、スポットなのか継続なのかも料金に影響します。よく見受けられるのは、少量なのに一括見積もりサイトで見積もり依頼をしてくるケースです。このケースの場合は、よほどのことがない限り見積もりに応じてくれる業者はいないかもしれません。スポット的にちょっと量のあるスキャンの場合も、あまり値引きには応じてもらえないでしょう。

 

見積もり依頼の仕方

最低限見積もり時に必要な情報として、以下の点をご確認ください。

  1. 全体のボリューム:枚、頁
  2. 対象物の管理状況:ファイリングのされ方、ホチキスや付箋の有無等
  3. 紙のサイズ:サイズが混在している場合はその割合
  4. スキャンの単位:PDFを1ファイル作成するのに、何枚スキャンするのか
  5. スキャン方法:裁断するのか、裁断しないのか
  6. 解像度とカラーモード

 

上記の6点が少なくとも必要となります。対象によっては、この6点以外にも必要な情報が出てきますが、最初の見積もり依頼としては、この6点あれば十分でしょう。

 

スキャン業者の実績紹介からうかがい知るスキャン業者のコンプライアンス意識

ウェブサイトに実績として依頼企業のロゴを引用したり、事例を紹介したりしているスキャン業者さんがいらっしゃいます。その中には、サイト上でロゴの使用を認めないと言っているのに、無許諾で引用し営業活動をしているスキャン業者も見受けられます。

 

例えば、国立大学や官公庁などのロゴを引用したり、もしくはスキャンの対象物を画像で紹介したり等。また、許諾を得ているものと得ていないものを混ぜている業者も見受けられますが、たとえ違法ではないとしても、無許諾で実績として掲載するのはいかがなものでしょうか。

 

秘密保持契約を交わしていたら、アウトかと思います。こういった業者が少なからず見受けられますので、業者選定の際は、コンプライアンスという視点も欠かせないでしょう。

 

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代行サービスの選定において失敗しないポイント

スキャニング業者を選ぶにあたっては、判断の軸(コスト、品質、セキュリティ)を明確にしたうえで、3~4社ほどピックアップしましょう。料金ページの単価は、あくまでも参考程度に留めて、見積もり依頼をしましょう。

 

見積もりの過程で、スキャニング業者から質問などがくるでしょう。その質問は認識の相違が起きないようになされるものなので、丁寧で漏れのない質問をしてくる業者が好ましいです。

 

大塚商会やキンコーズおよび印刷会社やビデオ制作会社、BPO業者は、実際のスキャン作業はパートナー会社で実施するケースが多いようです。スキャン専業の業者に依頼するよりは、2~3割高くなりますが、業者を探して選ぶ手間や、コンプライアンスに欠ける業者を選ぶリスクを減らすことができます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。スキャニングの用語解説から、スキャナー機器、スキャニング方法、内製化、外注の選び方、失敗しないポイントまで。スキャニング大全として徹底解説を試みました。

 

企業内で初めてスキャニングに触れる方から、ある程度スキャニングの知識のある方までを対象に、委託業者の立場から具体的に噛み砕いて説明しました。全体像を把握できれば、あとは必要な項目を仔細に調べていくだけで良いかと思います。ただ、力不足で説明不足なところもあるかと思います。その際は、雲紙舎まで何なりとご相談いただけたらと思います。

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